人生、計画を立てることは大切です。けれど、思い通りにいかないのが人生の面白いところ。
ふと立ち寄った道、予定外の出会い、思いつきの行動。そうした“行き当たりばったり”の中にこそ、意外な幸せが転がっているのかもしれません。
今回は、そんな「行き当たりばったり」について、私自身の経験や感じたことを交えながら綴ってみようと思います。
予定通りにいかない日も、悪くない
若いころは何事も「段取りよく」が一番だと思っていました。
仕事でも旅行でも、時間どおりに進むことが気持ちよく、それが“正解”だと信じていたんです。
でもある日、旅行先で予定していたバスに乗り遅れたことがありました。
最初は焦りましたが、仕方なく近くをぶらぶら歩いていると、地元の人しか知らない小さな喫茶店を見つけたんです。
入ってみると、そこには温かいコーヒーと優しい笑顔があり、旅の思い出として今も鮮明に残っています。
その時ふと思いました。
「計画通りにいかなくても、案外いいことがあるものだな」と。
行き当たりばったりが運んでくれる「縁」
インドネシアに勤務していた頃も、言葉の壁や文化の違いで戸惑うことばかりでした。
現地の人との約束の時間がずれたり、思いがけないイベントに巻き込まれたり。
最初は「いい加減だな」と感じていましたが、次第に「これがその国のリズムなんだ」と思えるようになりました。
ある日、仕事の合間に同僚に誘われて即席のバーベキューに参加しました。
それがきっかけで多くの友人ができ、帰国後も交流が続いています。
予定にない出来事ほど、あとで振り返ると「人生の宝物」になっていることが多いですね。
きっちりしすぎると見えなくなるもの
真面目な性格のせいか、どうしても計画を立てたがる私ですが、
最近は「すべてを決めすぎない時間」も大切にしています。
例えば、日曜日の朝に「今日はどこに行こうか」と思いつきで出かける。
行き先を決めず、風に任せてハンドルを切る。
そうすると、不思議なことに普段見えない風景や小さな幸せに気づけるんです。
季節の花、鳥の声、空の色。
どれも毎日そこにあったのに、心に余裕がないと見過ごしてしまうものばかりです。
行き当たりばったりの時間は、「心の余白」を思い出させてくれる気がします。
予定外の人生も、きっと味がある
人生もまた、行き当たりばったりの連続かもしれません。
思い通りにいかないことの方が多いし、努力してもうまくいかない時もあります。
けれど、それを「悪いこと」と決めつけてしまうのはもったいない。
もしかしたら、その寄り道が次の出会いに繋がるかもしれません。
あの時失敗したからこそ、今の自分がある。
そんな風に思えたら、少し肩の力が抜ける気がします。
行き当たりばったりを楽しむコツ
行き当たりばったりと言っても、何も考えずに動くのとは違います。
「まあ、どうにかなるさ」と受け入れる心の柔らかさが大切です。
例えば——
・予定を詰めすぎず、余白を残す
・迷ったら「面白そうな方」を選ぶ
・予定外のことが起きても、笑って受け止める
この3つを意識するだけで、日々の景色が少し違って見えるようになります。
完璧じゃなくてもいい。
「これでいいのだ」と思える心が、行き当たりばったりの人生を豊かにしてくれるのだと思います。
おわりに——風の向くまま、気の向くままに
人生を旅に例えるなら、すべてを地図どおりに進む必要はありません。
行き当たりばったりで進んだ道の先に、思いがけない出会いや発見がある。
それこそが人生の醍醐味ではないでしょうか。
私もこれからは、もう少し肩の力を抜いて、風の向くままに歩いてみようと思います。
きっとその先で、「ああ、悪くなかったな」と笑えるはずです。
 
  
  
  
  