定年が近づいてきたり、子どもが独立したりすると、ふと考えることがあります。
「これからは無理をしないで生きたい」。
けれど同時に、こんな声も頭に浮かびます。
「それは甘えではないか」。
「まだ頑張れるのに逃げているのではないか」。
長年働いてきた世代ほど、努力や根性を大切にしてきたはずです。
だからこそ、力を抜くことに罪悪感を覚えてしまうのかもしれません。
今日は、「無理しない生き方は甘えなのか」というテーマで考えてみたいと思います。
頑張ることが当たり前だった私たち世代
私たちは、歯を食いしばって働くことが美徳だと教わってきました。
多少の無理は当然。
弱音は吐かない。
それが大人だと思ってきた方も多いでしょう。
仕事でも家庭でも、「自分がやらなければ」と背負い続けてきた。
その積み重ねが、今の生活を支えているのは間違いありません。
けれど、50代を過ぎると体力も気力も少しずつ変わってきます。
若い頃と同じやり方では続かないことも増えてきます。
それでも昔と同じ基準で自分を責めてしまう。
「まだ足りない」と。
無理を続けることが本当に正しいのか。
ここで一度、立ち止まってみてもいいのではないでしょうか。
無理をやめることは、逃げることではない
無理しない生き方とは、何もしないことではありません。
自分の力を正しく使うことだと思います。
たとえば、体が疲れているのに休日も予定を詰め込む。
頼まれると断れず、仕事を抱え込む。
本当はしんどいのに「大丈夫」と言ってしまう。
これらは一見まじめで立派に見えます。
でも、心や体をすり減らしてしまえば、長くは続きません。
無理をやめるとは、「できないことを認める勇気」を持つこと。
そして「今の自分に合ったやり方に変えること」です。
若い頃は全力疾走。
これからは、景色を見ながら歩く。
それは後退ではなく、歩き方の変更です。
むしろ、これからの人生を長く楽しむための選択だと思うのです。
私たちが本当に守りたいものは何か
人生の後半戦で一番大切にしたいものは何でしょうか。
出世でしょうか。
評価でしょうか。
それとも健康や家族との時間でしょうか。
多くの方が「健康」と答えるのではないでしょうか。
そして「穏やかな時間」と。
もし無理を重ねて体を壊してしまったら。
家族との時間を失ってしまったら。
それこそ本末転倒です。
無理をしない生き方は、自分を大切にする生き方です。
そして結果的に、家族や周りの人を大切にすることにもつながります。
「これでいいのだ」。
そう言えるくらいの心の余裕を持てたら、人生はずいぶん軽くなるのではないでしょうか。
無理しないために今日からできること
では、具体的に何をすればよいのでしょうか。
難しいことは必要ありません。
まずは、「ひとつ減らす」ことから始めてみようと思います。
予定をひとつ減らす。
抱えている役割をひとつ手放す。
完璧を求めるのをひとつやめる。
それだけで、驚くほど気持ちは軽くなります。
次に、「本当にやりたいこと」を考える時間を持つ。
旅行でも、趣味でも、学び直しでもいい。
心が少しでも動くことを大切にする。
無理を減らすと、不思議と前向きな気持ちが戻ってきます。
頑張らないのではなく、頑張りどころを選ぶ。
それがこれからの賢い生き方かもしれません。
甘えではなく、知恵に変える
無理しない生き方は甘えではありません。
長い年月を生きてきたからこそ選べる「知恵」です。
若い頃は勢いで進めました。
でも今は、経験という財産があります。
失敗も反省も、すべて糧になっています。
だからこそ、自分に問いかけてみたい。
「これは本当に必要な無理か」。
もし答えがノーなら、手放してもいい。
その代わり、本当に大切なことに力を注ぐ。
人生はまだ続きます。
これからの時間を、苦しみで埋めるのか。
それとも穏やかさで満たすのか。
選べるのは自分です。
無理をしないことを、自分に許してあげる。
そこから、新しい景色が始まるのではないでしょうか。
明日からほんの少し、自分にやさしくしてみようと思います。
それは甘えではなく、未来への準備です。
そして、健康で楽しく生きるための第一歩になるはずです。
